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梨木香歩さん『きみにならびて野にたてば』 [本]

角川書店の「本の旅人」という冊子に昨年から連載されている
梨木香歩さんの『きみにならびて野にたてば』を毎月楽しみに読んでいます。

菅原千恵子さんの『宮澤賢治の青春』に感銘を受けた梨木さんが、
保阪嘉内の次男・庸夫さんのお宅に何度も取材に訪れ
10年近くを経てようやくこの連載が始まったようです。

先日届いた最新号の3月号は衝撃的でした。
驚きと、共感と、義憤と、恐れと、期待…
さまざまな感情が渦巻くような、いてもたってもいられないような。

保阪庸夫さんについて書かれるとき、梨木さんの庸夫さんへの想いがほとばしる。
うんうん、そうそう。
私にもよくわかる。

取材の中で、保阪家の、つまり嘉内が持っていた『アザリア』にまつわるある事件のことを知り
梨木さんはその解決の糸口がご自身の思春期のある体験と繋がっていることに気づいたそうです。
事件とは、『アザリア1号』が、かつてある人物によって持ち去られたこと。
体験とは、その人物が中心になり出版された文学誌『UR.』を、かつて愛読していたこと。

連載第1回目の2012年10月号は
ほぼ全部がこの『UR.うる』という文学誌に関することであり
「この文章は、特定の人物を糾弾するために始めるものではない。」
とのことわりがかかれてあります。
そして若き日に梨木さんがその本との出会ったころのこと、
その本の目次、
その本をとりまとめているらしい人物の巻頭言。
しかし、私はこの号に書かれていることの意味が
よくわかりませんでした。
3月号の第6回を読むまでは…!

実はこのブログ記事を書きかけていたとき
思い立って古書でみつけた『UR.うる』。
説明ではvol.3となっているけど出版年からするとこれではないのか、と取り寄せてみました。
開いてみると確かに!
まさに目次はそのとおりです。
ああ、アザリア創刊号を保阪家から持ち去ったのはこの人か!

「この文章は、特定の人物を糾弾するために始めるものではない。」
その人物こそ、『きみにならびて~』では「林昇順」、
実際の『UR.うる』では……
果たしてここに書いていいものかどうか。
梨木さんがわざと名前を変えてあるということは
何らかの意味があるのかもしれません。
私もあえて名を伏せることにしましょう。

しかし、その人物を知っている人ならすぐわかるはずです。

「連載に踏み切った背景には、こうして少しずつでも、発表していくことで、当時を知る人々からの情報、そして探しても所在のわからないかった登場人物から連絡がくるかもしれない、という期待もあった。」

こう梨木さんが巻頭で記したとおり、
どこからか、誰からか、なんらかの情報が寄せられることを
私も切に願って、この記事を書いています。

賢治と嘉内の友情の証と軌跡を索めて庸夫さんのもとに来る人は多くても
庸夫さんが父・嘉内と賢治から受けとめてしまったものの重さ、すさまじさを
また同じように庸夫さんから受けとめた人は少ないだろうし、
ましてや父・嘉内の書き込みがいっぱいある『アザリア1号』が失われたことの身を切るほどの痛みを
穏和な庸夫さんの表情や身振りから見逃さずに感じ取って
我がことのように胸を痛める梨木さんとはいったい…。
とてつもない人だと驚いています。

UR.うる.JPG

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